Cさん(仮名・28歳男性・三重県・前職地方百貨店勤務)から届いた話。
『Amazon輸出で月50万・在宅完結・誰でもできる』YouTubeから始まった、145万円のスクール。最後はアカウント凍結で、商品在庫だけが残った。
「『誰でもできる』という言葉に、自分の人生を賭けた、当時の判断を、いまも整理しきれていません」
地方百貨店勤務、2024年退職してフリーランス志望
Cさんは、三重県内の地方百貨店で4年勤務、2024年に退職。実家暮らし、退職金は約60万円。フリーランスとして在宅で働くことを目指していた。
「百貨店の業界は将来性が見えない、と感じていました。在宅で完結する仕事に切り替えれば、人生の選択肢が広がる、と」
YouTube、『Amazon輸出で月50万・誰でもできる』
2024年の夏。Cさんは、YouTubeで、Amazon輸出スクールの紹介動画を見つけた。再生回数は約120万回、コメント欄も好意的。
「『海外向けのAmazon出品なら、日本の競合が少なくて、利益率が高い』──動画の説明に、強い説得力を感じた」
無料セミナー、ホテル会議室
Cさんは、名古屋市内のホテルでの無料セミナーに参加。参加者約25名、20〜40代の男性が中心。
講師は30代男性、「元会社員・現役Amazon輸出プレイヤー」を自称。月収500万円のスクショ、英語サポートチームの紹介、海外Amazon(Amazon.com)の運営画面のデモ。
145万円、退職金と銀行ローン
セミナーの最後、6か月集中スクール、145万円。
「Amazon輸出の全フロー、英語サポート、卒業時の月50万円達成サポート付き」
Cさんは、退職金60万円+銀行系フリーローン85万円で145万円を捻出。家族には事後報告。
3か月の準備、Amazon.com アカウント開設
プログラム前半3か月は、Amazon.com(米国版)のセラーアカウント開設準備。米国の税務対応、銀行口座の問題、本人確認書類の英訳。Cさんが英語が不得意な点もあり、想定の3倍の時間がかかった。
「『英語サポート』は、運営側のスタッフが質問に答えるだけで、Cさんの代わりに作業はしてくれない。書類は全部、自分で英訳した」
仕入れ50点、出品開始
プログラム4か月目、Cさんはようやく仕入れと出品を開始。日本の雑貨・文房具・キャラクターグッズなど50点、合計仕入額は約25万円。
6か月目、アカウント凍結
プログラム6か月目、Cさんが本格的に売上を伸ばそうとしていた矢先、Amazon.com からのアカウント凍結通知が届いた。
「凍結理由は、『規約違反の可能性』とだけ。具体的な違反内容は開示されない、というのがAmazon側の方針でした」
Cさんはスクール運営に状況を相談、回答は「アカウント凍結は不可避なリスク、復活手続きは個別に対応してください」のテンプレ返信。
残在庫50点、米国のAmazon倉庫に
Cさんの仕入れた商品50点は、Amazon FBA経由で米国の倉庫に保管されたまま。アカウント凍結により、自分での出庫指示も困難な状態。
「結局、150万円分の損失です。退職金は全額、銀行ローンの残債85万円は、現在の在宅ワークの収入で月3万円ずつ返済中」
三重県消費生活センター、交渉中
Cさんは、三重県消費生活センターに相談。スクール側の『卒業時の月50万円達成サポート』の不実告知ルートで、現在約25万円返金で和解の方向。
取材の最後に
「これから海外輸出を検討する方に伝えたい。Amazon.com・eBay・Etsy など海外マーケットプレイスは、規約変更とアカウント凍結リスクが極めて高い。日本のAmazonとは別の規制環境です。在宅完結・誰でもできる、というキャッチに反応する前に、現役の海外輸出プレイヤーに、アカウント凍結体験談を聞いてください。それで判断が変わるはずです」
振り返り:3つの教訓
1. 海外マーケットプレイス(Amazon.com・eBay・Etsy)は、規約変更・アカウント凍結リスクが極めて高い。日本のAmazonと同じ感覚で運用すると、突然の凍結で全在庫が拘束される。
2. 『英語サポート』を謳う海外輸出スクールは、サポート範囲を契約前に明確に確認したい。書類英訳の代行か質問対応のみかで、実務負担が大きく変わる。
3. 退職金と銀行ローンを組み合わせた高額スクール申込みは、損失時の打撃が極大化する。退職金は『失えない資金』だ。副業は本業の安定範囲内で試す。