Tさん(仮名・43歳男性・大阪府・メーカー勤務)から届いた話。
『AIで月50万円の自動収益』を謳うツールに60万円。中身は、無料の汎用AIサービスのラッパー。
「『AIで自動』という言葉に、本気で時代の波を感じてしまったんです」
メーカー勤務、副業を意識し始めた時期
Tさんは、大阪府内のメーカーで勤務歴15年。年収は約550万円、妻と子1人、住宅ローン返済中。
「AIブームのニュースを毎日見ていた時期でした。自分の仕事もいずれAIに代替される、という危機感があって、AIを使いこなす側になりたい、と」
YouTube広告、『AIで月50万円・自動で収益発生』
2024年の秋。Tさんは、YouTubeのおすすめ動画で、AIツール販売の案内を目にする。
動画タイトルは「AIで月50万円・自動で収益発生」。再生回数は約45万回、コメント欄も好意的。
「AIを学ぶ機会、と捉えていました。月50万円は二の次、AI実務スキルが得られるなら60万円の価値はある、と」
無料セミナー、Zoom夜の時間帯
Tさんは、Zoom無料セミナーに参加。参加者約30名、40〜50代の会社員男性が中心だった。
講師は30代男性、「元IT会社勤務・現役AIプレイヤー」を自称。ChatGPT API活用のデモを画面共有、月収300万円の収益スクショも提示。
60万円、3か月集中プログラム
セミナー最後、有料プログラム3か月コース、60万円。
「AIツールの提供、運営LINEでのサポート、月50万円の収益サポート付き」
Tさんは、家計の貯金から60万円を捻出。妻には事後報告。
提供された『AIツール』、ChatGPT APIのラッパー
送られてきたAIツールの実態は、ChatGPT APIを呼び出す簡易インターフェース。月額20ドルのChatGPT Plus本体で、同じことができる内容だった。
「『独自AI』ではなく、汎用AIの上に被せたUIだけ。これは、IT業界の人間として、すぐに見抜けるべき点でした」
3か月の収益、約8,000円
Tさんは、教材通りに、AIで文章作成代行・画像生成代行などの案件を獲得しようとした。3か月の収益、約8,000円。
「ココナラ・ランサーズで案件を取るのに、AIツール独自の優位性はない。汎用AIで誰でも同じことができる時点で、競争力はなかった」
消費生活センター、交渉中
Tさんは、大阪府消費生活センターに相談。提供ツールの独自性欠如を立証する方向で、現在交渉中。返金見込みは約10万円前後。
取材の最後に
「これからAI副業を考える方に伝えたい。『独自AIツール』を謳う多くの商品は、ChatGPT・Claude・GeminiのAPIラッパーです。本家サービスを月額20ドルで1か月試してから判断してください。AI実務スキルを学ぶなら、書籍3冊と無料YouTube動画10本で、ほぼ網羅できます」
振り返り:3つの教訓
1. 『独自AIツール』の多くは、ChatGPT・Claude・GeminiのAPIラッパー。本家サービスを月額20ドル程度で1か月試してから、有料コンテンツを検討するのが先。
2. AI実務スキルの学習は、書籍3冊+無料YouTube動画10本で大半を網羅可能。60万円の有料プログラムに独自価値があるかどうか、契約前に検証する。
3. AIツールの差別化要素として『独自プロンプト』が提示される場合、その独自性は事後的に検証できないことが多い。プロンプトの効果は、公開された時点で再現性が下がる性質を持つ。